真の姿《自己紹介》編






お前に教えておいても損は無いだろう。よく聞け。

この“竜殺し”の目的は

1.「アックス&ウィザーズ」のオブリビオンの殲滅

2.「アックス&ウィザーズ」のオブリビオンのボスに質問

3.他の猟兵のサポートをする

この3つだ。理由は今から話そう……まずは過去からだ。




一つ目の過去は、竜を倒す素質の持ち主だったという事だ。おそらく、竜関連ならば猟兵達がよく知る「アックス&ウィザーズ」の出身だったのだろう。


二つ目の過去は、気付いた時にはアイテム化していた。神隠しによって、子孫と共に様々な世界を転々とした。長い長い旅だった。



異形に右腕を奪われ、絶望に喘ぐ小娘。


右腕を潰され、天を仰ぐ少年。


焦点の定まらぬ眼を向ける者も居れば、


水の中へ引きずりこまれ、閉じる者も居る。


掠め取られた右腕を庇って、睨みつける者も居た。


だが、必ずそこに現れる。──忌々しい右腕が!──栄光の右腕が!


お前の眼に入れてしまったのなら、死にたくないと願ってしまったのなら!お前はもう“竜殺し”だ!!


「ああ、またか」と、「運命なんてくそったれ」だと思う。例え、子孫でなくとも、苦しむお前を見捨てる事なんて出来はしない!手を差し伸べるしかないだろう!!


そう……手だけに……“手”、だけに……。



おい、今のは笑う所だぞ。大抵は冷静にこの話を聞いてくれるのだが、かつて……


「なんという中二www話が暗すぎますぞwww」


と言った者が居てな……。右腕を失ってすぐだったから、虚勢だったのかもしれないが。


その後も


「この右腕について、家族に何も言われませんでしたぞwww何かのスキルですかなwww」


と言われたが、さっぱり意味が分からん。


とにかく、シリアスばかりのダークファンタジーは“もたれる”らしい。良い気晴らしになったか?いや、決して今までの話はファンタジーではない。だが、そいつを通してUDCアースの娯楽文化を学んだ結果、この“竜殺し”の記憶が何処まで本物か分からなくなってしまった。


竜と戦っていた記憶はある。倒した記憶、その後の記憶が無い。最初は倒した竜の呪いか何かかと思っていたが……物語の中では、似たような境遇の者が何人か居た。実は「AI」だったり「偽物」だったり、様々なパターンがあるようだ。


ちなみに、“そいつ”は歴代の持ち主の中で随一いい加減だったが……最期に娘を守り切って戦い、戦士として散った事は褒めてやる。だが、母親としては…………オブリビオン、貴様ダケハユルサナイ……フゥー、ハァー………………



すまない。“そいつ”の娘?さぁな。元気だとは言っておこう。突拍子も無い話だが、俺も竜が好きだった。大空を我が物顔で駆ける竜が。今の持ち主とは一番気が合いそうだ。だからこそ、竜と戦う時が心配なのだが……そこは、俺がカバーしよう。全ては俺のせいなのだから。


その持ち主の右腕には、今までの持ち主の想いが宿っている。たまに一人称がバラバラになってしまうのはそのせいだ。性別も育ちもバラバラだからな。ただ、扱えない武器があんまり無いという良い点もあるようだ。基本は殴って戦わせて貰うぞ。俺の性に合っている。…………一応、ナックルは装備していたぞ。威力が上がるからな。無論、頭突きをかます時もある。威力があるからな。



話が長かったな。ここからが本題だ。今までは「俺がやらなきゃ、誰がやる」という思いで戦ってきた。だが、お前ら猟兵達が居る。我々にとって猟兵とは希望だ。俺の力を受け継いだ者が傷つき倒れていく姿はもう見たくない。


我々は怯えて隠れ潜む事が出来ない。そこに武器があれば掴み、敵があれば戦い、救える命があれば助けに往く。長生き出来ないのも当然だな。


猟兵が隣にさえ居てくれれば、とても心強い。例え、どんな時でも、世界を敵に回しても、この“竜殺し”は猟兵の味方だ!!




これからも戦友として、よろしく頼む。



いつか、親離れならぬ“先祖離れ”をする日が来るかもしれないな。想像すると寂しいが……今の持ち主の成長が楽しみだな!はっはっは!!